業界未経験からの通関士資格取得

ぴー さん(2022年度合格 受験回数2回)

成田空港で接客を10年間しておりましたが、コロナ禍の影響で物流業界に出向になったのを機に通関士試験取得に向けた勉強を開始しました。

<受験回数>
2回
一年目は完全独学で業法70%、関税法56%、実務70%で不合格となりました。
二年目は独学+みこ会で業法100%、関税法等81%、実務88%で無事リベンジを果たしました。

<使用教材の紹介>
一個一個の使用感を語ると、とんでもない長さになったのでおすすめ具合だけ◎、〇、△で表すことにします。

テキスト① TAC スピードテキスト・・・△
テキスト② 翔泳社 通関士完全攻略ガイド・・・◎
問題集①・・・翔泳社 過去問題集・・・◎
問題集②・・・関税協会 計算問題ドリル・・・◎ 
問題集③・・・関税協会 関税評価 ドリル・・・〇
問題集④・・・ゼロからの申告書・・・◎
その他①・・・LEC 品目分類テキスト・・・◎
その他②・・・みこ会 課税価格決定テキスト・・・◎
その他③・・・みこ会 過去問アプリ・・・◎
その他④・・・本試験過去問
その他⑤・・・模試  協会模試・・・〇 TAC・・・◎ LEC・・・◎
         
<勉強時間>
恐らく年間約500時間×2年で通算約1000時間程。
平日朝早く出勤したり、通退勤の合間、休憩時間などに勉強をして平日のみ1日約2時間程。その分土日祝はほぼ勉強0でした。

<勉強方法>
特に長期的な計画は立てておらず、ひたすら満遍なく、業法・関税法等・申告書作成・計算問題・品目分類の
5つをぐるぐると回し続けました。ただ完全に均等というわけではなく、
力の入れ具合は 関税法等>計算問題>申告書>品目分類>業法 の順でした。
申告書練習に時間を割きがちですが計算練習は、試験の計算問題の部分そのものも勿論、申告書問題の課税価格を出す部分でも使うので時間を多く割くべきだと思います。

<合格に向けて意識したこと>
①継続して満遍なく勉強する計画を立てること
法律系で分かりにくい上に範囲が広くて暗記が多いこと、計算問題もパターンがいくつかあること、その上申告書作成問題や品目分類もあるため
苦手科目や、久々すぎてなんだったっけ?みたいな科目をなくすことが一番重要だと思いました。

②テキストの読み込みを重点的にすること
過去問演習も大事ですが、本試験は毎年必ずと言っていいほど今まで見たことがない着眼点の問題や、新しい形式の問題があったりします。
あまり過去問に固執しすぎると、本試験で類似問題が出た時は強いですがそうでなかった場合に応用が利かず太刀打ちが出来なくなります。
初受験時は過去問のやりすぎでテキストの読み込みが甘くなり、本試験の関税法等で上記現象に陥り、不合格の原因になりました。

<本番の戦略(実務)>
自分でやりやすい方法が一番の方法なので、あくまで一例としてお考え頂ければと思います。
解く順番は 時間配分のし易い3問目以降(申告書以外の部分)から解き始めて最後の問題まで→輸入→輸出の順で解きました。
時間配分は、3問目~最後(40分~50分)、輸入(25分~35分)、輸出(15分~25分)ぐらいになるよう常に時間を計って練習していました。

以下ちょっと長くなりますが上記の理由や本番で考えていたこと、自分のやり方を箇条書きで書いていこうと思います。

・頭から順にやって申告書に時間をかけると、後半の計算問題を焦りながらやることになる恐れがあり計算ミス・マークミスの原因になる。

・計算問題は各2点で配点が高い稼ぎ所なのでここをまず落ち着いて確実に取りに行くべき。

・輸入を先に解くのも似たような理由で、課税価格を計算するのに時間がかかり、マークにも時間がかかり、出来ればここぐらいはせめて価格の部分だけでも見直ししておきたいところなので、最後に回すと慌てる可能性があるし配点が高いから輸出より先。

・輸出はあからさまに迷わせるような品物が最低1個は混じっていて時間を取られる割に全部正解でもたった5点しか取れないので最後でよい。

・輸出は輸入と違って課税価格を出す必要も無いので、万が一時間が足りないとなればイチかバチか大額だけHS立てて並び替えて少額合算を最後に持ってくれば一応形にはなるので最悪それで逃げる(※このやり方で正解する保証はありません。)

・3問目以降の記述問題は関税法等の科目で出てくるそれよりもマニアックな傾向があるため、パッと読んだら深く考えずに秒でマークして先に行く。

・申告書(5+15=計20点)と計算問題(2×5=計10点)だけで理論上合格ラインを超えられるので、その他の問題は最悪全部捨ててもいいやの精神で解くと気が楽。他2つと違いこの科目だけは、時短するために全問正解を目指さない。

・原産地規則の問題は、よく読んで落ち着けば確実に点が取れる。・・・が、読み込みすぎて時間を取られる原因になり得る部分でもあると思うので時間をかけすぎて申告書を最後まで出来なくなるぐらいならここもさらっとそれっぽいのを選んで先へ行くべき。

・計算問題は、得点源なので慎重気味に。出来れば見直し計算もしたいが全計算過程を2回ずつやると時間がたりなくなる恐れもあるのでせめて不安そうなところだけでも。

・品目分類の問題は、知っているなら正解を選ぶ。見たことがないなら鉛筆を転がして決める、の2択。こここそ考えるだけ時間の無駄なので秒で決めてさっさと先へ。

・申告書問題の選択肢になっているHSコードは、品目表上の該当コード部分を全て蛍光ペンで塗る。更に塗った横の空白部分に選択肢の番号を書き込む。

・為替レートを見間違えると致命的なので必ずインボイスの余白に書き写す。見間違え・書き写し間違えがないか必ず1度は確認する。

・個別の加算要素と全体の加算要素はゴチャゴチャになったり加算忘れしないように場所を分けて分かりやすく書く。

・問題指示の文量が(輸入は特に)多く読みづらい上、最初にいっぺんに全部読んでも該当箇所に差し掛かるころには忘れてしまっているし、かといって解きながら並行して読んでいるとどこが既に読んでいてどこをまだ読んでいないか分からなくなりがちで見落とす原因になるので、読むと同時に該当部分の処理をして、終わったら蛍光ペンでチェックを入れるか塗る、を繰り返しながら一個ずつ丁寧に潰していく。指示の見落とし・見間違え・転記ミスなどのたった一つのミスによって金額・合算・並び替え順が変わってしまって何もかも崩壊することが往々にしてあるのでよく注意する。

・問題指示1~4ぐらいの最初の方の部分は先に読んでしまうと並び替える頃には忘れてしまっているので最初は無視して、並び替える段階にいくまではそれ以降の問題指示を読み進めながら解いて並び替える段階に至ったら改めて冒頭部分の指示を読みながら並び替える。
本試験ではどうか分かりませんが、練習問題では 「少額合算は最後にする」王道パターンの他、よく見ると「少額合算は最後と書かれていない(少額合算も含め金額の高い順に並べる)」、「同じ税率ごとに合算する」、「少額が単独である時は末尾をEにする」、「少額が単独であるけど末尾Eにする指示が書かれていない(末尾Xが正解)」など色んなパターンがありました。大半は一番最初の「少額合算は最後」パターンだと思いますが、ここを最初から決めつけてかかると本番で痛い目にあう可能性があるので、問題指示の最初の方の部分もテンプレの文章だと思わずにきちんと読むべきだと思います。

以上となります。大変長くなりましたがここまで読んで頂き有難う御座いました。
1年間通関士試験勉強を続けることは本当に辛く地獄ですが、1年目→2年目の私の本試験の伸びのように諦めなければ努力が実る日はきっといつかやってきます。これから受験される皆様が無事に合格されることを心から祈っております。