こんばんは🌜💓🌛
通関士試験は貿易、物流などの関係者が受けることが多いためか、受験生には何らかの語学資格を持っている人の割合が高いという印象を受けます。
私にメッセージをくださる受験生の方とお話すると、半分くらいの人がそうであるような気がします。
もっとも、とくに話の流れで出てこない限りは、私から尋ねることは基本的にないので、実際は私が知らないだけでもうちょっと割合が高いのでしょう。
そして、私が当初意外だったのが、かなり高いレベルの語学資格やスコアを保有している方が少なからずいるのですが、そういう方でも通関士試験の勉強には苦戦していることも珍しくないということです。
私からすると、そのレベルの語学資格、スコアを保有できるほど勉強ができるのに、なぜ通関士試験に苦戦するのかと不思議に感じていました。
しかし、そういう方々とお話をしていると、なんとなく共通点があり、なぜそうなってしまうのかもだんだん見えてきたような気がします。
そこで今回は、語学と通関士試験との勉強の関係についてお話しします。心当たりのある方は参考にしてみてください。
なお、ここでは語学といっても、言語学のように言語を研究対象とする学問ではなく、単に外国語の習得を指します。
まず、なぜこのようなことが起きるかにつき結論から言うと、語学と通関士試験は基本的な勉強方法が大きく違うからだということに尽きるのだと思います。
語学は、誤解を恐れず乱暴に言えば、読む、聞く、書く、話すのそれぞれにつき量さえこなせば大抵誰でもそれなりに習得できるのです。
これは、言語というのは、その言語圏に生まれ育った人であれば自然と大抵誰でも習得できるような性質を持つからでしょう。あれこれ難しい勉強や特別な努力をしないと習得できない言語なんて、一般的に受け入れられないので言語として成立しませんよね。そんなに難しく考えなくとも、慣れればなんとか習得できるという性質を持つからこそ、その土地で言語は発展してきたのです。
また、語学の場合は、多少怪しい文法や単語、発音などがあったとしても、全体的な文脈や雰囲気からなんとなく意味を推測できます。
以上のことから、多少雑な勉強であっても質より量でカバーできるし、さらに言えば、覚えることがとても多いため、質の高い勉強をしても短期間で身につけることは難しく、量をこなさないと上達しません。
難しい理屈はそんなに要らないが、量をこなすことで慣れて習得するのが語学なのです。多少間違っていても、量をこなせばなんとなく誤りや不自然さに気づいて修正されていきます。
一方、通関士試験は、法律学とそれを元にした事務処理で構成される試験ですが、法律は少しの文にたくさんのルールを詰め込んでおり造りが複雑なので、正確に理解していないと量をこなしても身につきにくいという特性があります。
また、日本語で書いてあるので気づきにくいかもしれませんが、条文や法律文書は、同じ内容のことを反復したり言い換えたりせず一度きりしか言わないので、少しの違いが大きな違いにつながり、文脈や雰囲気で内容を判断することが難しいのです。できるかぎり正確に、最小限の言葉で表現するのが法律なのです。
そうすると、正確な理屈を理解することが大前提であり、雑な勉強をしていると、それを量でカバーすることは簡単ではありません。
逆に言えば、正確に理屈を理解することさえできれば、語学に比べて量をこなさなくても上達が速いのが法律学であり、通関士試験なのです。
そのため、使う教材を最小限に抑えて、何度も繰り返し使うことで密度の濃い知識を入れる方が上達しやすくなります。もちろん、すでにその教材を習得したといえるレベルまで勉強したのであれば、新しい教材に手を出して更に上を目指せば実力は伸びますが、実はそこまでしなくても通関士試験は十分受かってしまう試験です。
私はたった一冊の教科書と、たった一冊の肢別過去問集、それに加えて本試験そのものの形式の過去問10年分ほどだけを使用してすぐに合格しましたが、それだけで合格したの！？とよく驚かれます。しかし、それは逆で、使う教材の数を少なく抑えて密度の濃い勉強をしたから早く合格できました。
語学が得意なのに通関士試験に苦戦する方にありがちなのが、以上のような特性に気づかず、読んだ教科書や解いた問題、受けた講座の数であるとか、かけた勉強時間の多さなどの量で押し切ろうと考えていることです。
しかし、自分が習得しきれないほどのたくさんの教材を使うのは逆効果です。
悩んでいる人は、自分で処理しきれる最小限の教材を使ってみてください。
処理しきれるというのは、その教材の中身のうち試験に出そうなところはほぼ完璧に覚えた状態にもっていけることを指します。
みこ