通関実務の取り組み方

こんにちは!

この時期になるともう、今年の試験に向けて勉強を開始されている方が多いと思います。

そして、三科目受験の方は、難関の通関実務が試験科目に入ってくるため、初めて触れたときは攻略の糸口が見つからず悩んでしまうかもしれません。

そこで今回は、通関実務の勉強に取り組むときの考え方についてお話したいと思います。二回目以降の受験生の方でも、どう取り組めばよいのかよくわからず前回落としてしまった、というのであればご参考になさってください。

通関実務は読解力が試される

通関実務の問題は、申告書、計算式、択一式、複数選択式から構成されます。

そして、これらの各問題は、

①基礎知識があればあとは基礎学力(読解力、思考力、算数や英語の知識など)で解ける問題

②マイナー知識がなければ解けない問題

の2つに分かれます。

①の例を挙げれば、申告書の貨物分類が典型例です。与えられた資料を読めば答えが自動的に絞られるようになっていますね。また、過去に出た「歩留まり」の計算だって、わざわざ式が立てられるように正確な説明が記載されていましたので、これにあたります。他には、第52回の通関実務第7問などは、今まで出されたことのないタイプの問題でしたが、完全に①です。

そして、①をミス少なく得点出来れば、必ず合格ラインに達するようになっています。そういう風に問題が作られているというのもありますが、正確な理由は、②を高得点できる受験生が少ないため、結果的に①で決まるからです。

出題者側としてもある程度の合格者数は確保しなければならないので、①も②も高得点できなければ受からないような合格ラインを設定してしまうと、合格者がほぼいなくなるので困ってしまいます。

しかし、前述したとおり、②を高得点できる受験生は少ないのです。というか、ほぼいないのではないかと考えます。なぜなら、②で高得点しようとすれば、勉強範囲が異常に広くなってしまいますよね。各種の法令や通達、統計品目表などを隅々まで細かく頭に入れておく必要があるからです。

試験範囲を一通り勉強した方は感じていると思いますが、大抵のテキストに書かれているような基礎的な知識の部分だけでも、そこそこの分量があります。その部分だけの暗記ですら脱落する人が多いのが現状で、正直、これを超えてあれもこれもたくさん詰め込むだけの記憶力、体力、忍耐力がある受験生なんて合格者レベルでもほとんどいません。もちろん、自分はそれだけやっても限りなく合格可能性を上げたいんだ、できるんだ、という方は、やるべきだと思います。ただ、そこまで気合いのある方は、コストパフォーマンスを考えてもっとハイランクの試験にチャレンジされると思いますが…。それでもなお、そこまでやることになっても、絶対に通関士試験でなければならないんだというなら、②までがっちり固めていくべきでしょう。

②を高得点する作戦も理論上は有り得ますが、それだけの広範囲にわたる知識があるのなら、普通はとっくの昔に受かっていたり、実務経験が長くなり科目免除を取れていたりするはずです。実際は、長期間の実務経験者でも、よく分からない、知らないという問題が含まれているのも現状です。

したがって、①を高得点する、という戦略が基本になってきます。通関士試験の教材も、基本的にそういう前提で作られています。

ということは、基礎知識と基礎学力を上げていく勉強を主にすることになります。ここでは細かい説明は省きますが、通関士試験では基礎学力のうち読解力を上げていくということが一番大切です。

知識量に頼りきりにならないで

しかし、①を攻略するためには、もう一つ策があります。それは、マイナー知識を詰めることで、①を解きやすくするという方法です。

典型的なのは、皆さんもご存知のとおり、貨物分類や類の暗記です。

これをすることで、申告書の貨物分類の際、イメージがつきやすくなり解きやすくなるのです。初見の統計品目表や貨物よりも、日頃見慣れているものの方が、分類の構造が理解しやすくなりますよね。そうすると、正確に解くための補助になります。

それ自体は悪いことではありません。けれども、近年の通関実務では、申告書を中心として、自分の頭で考えて解くことを要求される出題が増えています。覚えていることをそのまま当てはめただけでは、引っかかりやすいように作られているのです。

また、貨物の品名なんて無限に作り出せるので、何でもかんでも覚えるなんて不可能です。

そのため、①を正面から攻略するための勉強をおざなりにして、マイナー知識ばかり詰める勉強に頼ってしまうと、なかなか合格できません。知識を増やす勉強は、あくまで補助的なものなのです。

文章を読んだり、考えたりすることが苦手だという方はとくに、知識量でカバーして乗り切りたくなるかもしれません。何度も受験している受験生ほど、この傾向は強くなっているところが見受けられます。勉強期間が長いので細かいことはたくさん知っていても、読解力が無いので、①の問題にあたるとミスが増えたり分からなくなったりするのです。

しかし、知識はあるに越したことはありませんが、あくまで読解力を中心とした基礎学力を鍛えることが基本です。そのためには、問題演習を積み、解答解説をよく読んで、どういう理屈でその答えが導き出されるのかを、一つ一つ段階を踏んで理解していく勉強を心掛けてください。解答が導き出されるためには、必ず正確な法的根拠や理屈があります。これにより、自分が問題を解く際にも、段階を踏んだ理屈を作りながら解答を導く力がつくのです。

問題演習の解説では、細かいところは省いてあることもよく見られますが、省かれたからといってそこは適当に流してはいけません。よく分からないなと思えば、分かるまでじっくり考えるか、それでも分からないなら誰かに聞くなりして調べましょう。

科目免除も一つの道

また、どーしても攻略できない、というのであれば、頑張って科目免除を取るのも一つの手段です。誰だって、得意なことと苦手なことがあります。出来そうにないことは無理してまでやらないというのも、一つの考え方です。道は一つじゃないので、自分に合ったやり方でうまくやるのも時には大事ですよね🌸🌱

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