人生は予測不可能

一陽来復 さん(5年生存率5%以下のステージ4癌患者(それまで外資系企業でSCMを担当) 2023年度合格 受験回数1回)

2018年、34歳のとき、私はがんに冒されました。当時主人も心臓病で手術を控え、小さな子供を抱えつつの同時闘病でした。それまで外資でSCMの仕事をしていましたが、職を失う恐怖から通関士の資格を取得したいと考えていました。しかし、2019年9月、私に肺転移が確認され、さらにコロナが流行し始め、治療に専念するために仕事を辞めざるを得なくなりました。通関士試験も諦め、当時「私の人生は終わったのかもしれない…」と思いました。
 療養生活中、余命宣告を受けた経験もあります。抗がん剤の治療により頭髪が失われ、ケモブレインと呼ばれる認知症の症状も現れました。言葉の理解が難しく、文章を読むと頭痛が起こり、携帯に送られてくるPINコードも覚えられませんでした。相手が何を言っているか理解できず会話も避けるようになり、体力・気力なく英単語もほぼ忘れてしまうなど、苦しい日々でした。
 しかし、療養生活中には時間が豊富にありました。1年目には子供のお受験に挑戦し、6か月の準備期間で無事に合格。我が子の頑張る姿から刺激をもらい、頭も徐々に回復してきたため、治療後3年が経った2023年4月に再び通関士の資格を取得しようと志しました。子供のお受験塾で攻略方法のイロハを学ばせてもらい、自分も無駄な遠回りは避けたかったので、一番安価な「みこ会」への入会をすぐに決めました。テキストはほぼ全て中古で購入しましたが、みこ会で法改正をしっかりチェックしました。

使った教材
・「みこ会」課税価格の決定テキスト、アプリ
・フォーサイトの短期集中コースの教材(メルカリで2020年版を¥13000で購入)
・通関士試験2023年度版 統計品目カード ¥4,980
・「0からの申告書 2020」メルカリにて¥980
・税関模試、LEC模試 

 仕事はしておりませんので、まとまった勉強時間が確保できました。主人も積極的にサポートをしてくれたお陰で、子供がいない日と用事がない日は朝8:30~16:00ごろまで勉強する日もあれば、夜は子供が寝た後、12時頃まで勉強しました。勉強できることがただ嬉しく、とても楽しく集中できていました。

暗記方法
 言葉のアウトプットが苦手な私は、「イメージ」を活用して効果的に覚えました。市販の絵柄の描かれた統計品目カードを使用したのもその一環です。難しい箇所や押さえきれない箇所は、クスっと笑える自作のイラストを描くことで記憶に定着させました。例えば、積み込み指定期間を経過しても承認に係る船舶に積み込まれない船用品の課税価格の決定時期に関する問題では、七福神を乗せた「宝船」の絵を描き、どっさりとヤードに積み残された宝物を、困った税関が「早く引き取ってください」、と頼んでいるシーンを描きました。課税価格の確定時期の問題が出ると、まずイメージを頭に浮かばせアウトプットするように訓練しました。また、数字の覚えに関しては、「ペグ」を活用して記憶の片隅に残すトレーニングも行いました。たとえば、2を「にんじん」、3を「サンダル」と決めてストーリを作って紐付けするのですが、この方法は、子供のお受験時に学んだものです。これによって特に誤りやすい年数を確実に覚えることができました。

タイムライン
4、5月 フォーサイトの教科書、みこ会サイト・テキスト、問題集、みこ会アプリ1周目
6月   問題集「0からの申告書」 1周目、みこ会サイト・テキスト・アプリ
7月   はじめて過去問に手をつけはじめる(先生に勉強の進め方について相談)
8月   模試、過去問、みこ会アプリ(子供が夏休みのため、殆ど勉強できず)
9月   過去問〈46~56〉2周目、フォーサイト計算問題(5周)、みこ会アプリ(5周目)
 

8月の模試では関税協会とLECさんの2社の模試を受験しました。8月の税関模試の結果は1123人中800位らへんでした。自己採点時は流石にショックで今年の受験は諦めようかと悩みましたが、SNS上でみこ先生の励ましを見て、徐々に勇気づけられました。模試は3回解き直し、「今間違えたことは、本番で正確な答えを導くため」と強く自分に言い聞かせました。みこ先生はいつも謙虚な姿勢で質問に即答してくださったので、正直にわからない点を質問しやすく心強かったです。また、7月に勉強の進め方について質問していなければ、過去問に取り掛かるのも遅かったかもしれません。最終的に計算問題は試験前には満点、過去問は8割以上とれる状態に仕上げました。

試験結果(自己採点)
o 通関業法 37点 (82%)
o 関税法  36点 (60%)
o 通関実務 39点 (86%)

 自己採点で関税法がギリギリで、落ちるかもしれないと腹を括っていましたが何とか合格できました。「一陽来復」は、困難や逆境から立ち直り、再び幸運が訪れることを指す言葉です。大病を患った後の私の経験から得た教訓は、どんなに暗いトンネルでも、その先には光が差している可能性があるということです。人生は予測不可能であり、希望が意外な形で現れることがあります。辛い時期を乗り越え、陰の氣が陽の氣へと流れ前進することができるよう、通関士試験に挑まれる皆様を心から応援いたします。そして最後に、私を合格へ導いてくださり、就労への新たな一歩を踏み出す「きっかけ」を作ってくださったみこ先生に、心から感謝申し上げます。