日々の激務と直前期のコロナ罹患を乗り越えて

Wintos さん(20代 男性 物流・倉庫系営業職 2022年度合格 受験回数2回)

【はじめに】

1回目と2回目の学習時間は下記の通りです。

第55回(不合格)・・・約390時間(4ヶ月)
平均80H/月・直前期120H/月

第56回(合格)・・・・約420時間(1年間) 
平均20H/月(10~4月)・50~60H/月(5~9月)

通関士試験合格を目指して勉強される方の参考になればと思い自身の体験を記させて頂きます。
仕事が忙しい方、育児に励む方(私の立場では男性目線)には状況が重なるものがあるかもしれません。

【受験を決めたきっかけ】

① 私が社内で最も理想としている上司が通関士資格を持っており、同じ資格を取りたいと思ったから
② 尊敬する上司のもとで自分も同じような仕事がしたいと憧れていたから
③ 社内での通関士手当が欲しかったから(合格祝い金3万円、資格手当1万5000円/月)
④ 現在の激務部署を一早く異動して、家族と過ごす時間を作りたかった。

【みこ会へ入会したきっかけ】

私は2回目の受験で合格を掴み取る事ができたのですが、1回目に受験した第55回は初学者+試験4か月前の勉強開始ということもあり、みこ会には入会せずに完全独学で挑みました。勉強すればするほど、間に合わない現実を突きつけられていましたが、「運よくギリギリでも合格できたらいいな」とわずかな望みを抱き、独学なりに必死に勉強しました。自己採点は通関業法28/45、関税法34/60、実務31/45という結果でした。点数だけ見れば関税法が2点足りないだけですが、全く手応えを感じることができず、勉強不足・実力不足を痛感しました。分かり易く例えるならば、「惜しくも不合格」ではなく、「運良くギリギリ不合格」というのが正直な感想でした。完全独学でやれるだけのことをやり、その限界を感じたのでオープン前からみこ会への入会を決めており、オープン当日に入会しました。本気で合格を目指す方は必ず入った方がいいと思います。その理由は後ほど具体的に記していきます。

 【使用教材】

・テキスト
①翔泳社 通関士完全攻略ガイド(2022) 
使用期間 2021年12月~試験直前(複数周)
⇒とにかく読み込んでいました。過去問でよく間違えるような理解の弱い分野は要チェックです。学習初期から本試験の休み時間まで活用していました

②みこ会 課税価格決定の原則&例外編
使用期間 2021年12月~試験直前(トータル3周)
⇒ここを理解すれば、関税法の選択問題や通関実務の申告書や計算問題で得点源となります。学習初期(冬頃)で1周、中期(春先)で1周、直前期(9月下旬)で1周しました。 

③LEC貨物分類テキスト(2022) 
使用期間 2022年2月~試験直前(複数周・問題は1周のみ)
⇒みこ会とタイアップ企画で割引があったため購入。近年の申告書問題は貨物分類が得意であれば解きやすいので、やって損はないと思います。ただし、3科目目の通関実務における選択式の問題で貨物分類はせいぜい2~3点であるため、優先順位として申告書を解く力や計算問題、課税価格の決定原則を理解した上で取り組むべきです。

・問題集:
①翔泳社 通関士問題集(2021)
使用期間 2021年7月~2022年4月(トータル8周)
⇒2年目も同じ教材を使用しましたが、春以降は過去問演習を優先したため、手が回りませんでした。
選択問題は過去問より難しい印象。余裕がある方は過去問演習と並行するのがおすすめです。
 1問解くごとのページの裏に解答解説があるため、手軽に勉強が進めやすいです。

②関税協会 計算問題ドリル(2021)
使用期間 2021年9月~2022年6月(レベル4・5のみ4周)
⇒1回目の試験に向けた学習時に計算問題で間違いが減らなかったため、直前期の9月に購入
過去問の計算問題だけではパターンが少ないので、対応力を身に付けるためにも心強い1冊です。

③ゼロからの申告書(2021)
⇒2021年7月~2021年8月(1周すらしていません…)
安全圏での合格を目指したい方には申告書を極める必要があるため、有名な問題集だと思います。
多くの受験者のバイブル的な立ち位置ですが、2回の受験において私は全く活用できませんでした。その理由としては過去問レベルの申告書を解くことで精一杯となり、自身の理解力がゼロ申を解くレベルまで達することができなかったからです。
近年、申告書問題は易化していますが、受験者のレベルが上がっている昨今の状況を踏まえると昔のように申告書問題が難化した場合にも備えておいた方がいいと思います。
ゼロ申を3周程度できる力あれば、申告書についてある程度難化しても問題無いかと思います。(周回出来なかった私が申し上げても説得力が無いのは承知の上ですが…)

過去問 使用期間 2022年4月末~9月
⇒大いに重宝しました。通関業法・関税法…5年分3周、実務は10年分4周しました。 
※詳細は下記【みこ会に入ってよかったと思うこと】にてお伝えします。

・その他
みこ会アプリ 導入~試験直前(複数周)
⇒隙間時間に心強い味方です。
※詳細は下記【みこ会に入ってよかったと思うこと】にてお伝えします。

【模擬試験】

① 関税協会模試(在宅受験)
⇒本試験に一番リアルな難易度だと思います。
合格レベルでもE判定の方が多いので、判定は気にしなくていいと思います。

② LEC模試(会場受験)
⇒本試験よりも明らかに難易度が高いです。
コロナ禍で他社は在宅受験が主流ですが、独学の受験者が会場受験できる模試はこのLECだけでした。
本試験で初見の問題にあたったときに動じないための練習にはちょうどいいかもしれません。
高得点を目指す受験者や応用的な問題を求める受験者にはおすすめです。

【勉強方法】
① テキスト・問題集・過去問の周回
⇒あれこれ手を付けず、教材は自分に合うものを吟味して周回した方がいいです。
私は手つかずの教材がちらほらあるので今も反省しています。

② 目標の設定(短期~長期に分ける)
⇒私の場合は60時間/月と15時間/週を目標として管理していました。
※日ごとの目標については敢えて設定していませんでした。理由はその日の予定や体調によって可能な時間が変わってくるためです。週全体でカバーするという考え方でした。

③ 目に見える化することで現状に向き合う
⇒勉強ができていれば自信やモチベーション向上に繋がり、出来ていない自覚がある場合は焦りを感じます。日数に余裕がある時期は勉強ができていてもモチベーション維持が難しく、反対に勉強が出来ていない場合でも焦りが生まれにくい傾向にあると思います。それを解消するためにもアプリで勉強時間を記録することをおすすめします。
また、日数に余裕がある場合は「あと〇〇日」と言われてもやる気スイッチが入りにくいと思うので、私は「あと〇〇週間」と意識し、週ごとの目標と進捗状況を具体的にイメージするようにしていました。

④ 解答時間を意識する
⇒通関士試験は解答時間との戦いです。時間配分がカギとなります。従来は3科目目の通関実務において「時間が足らない」と言う声がメインでしたが、近年は通関業法や関税法でも時間いっぱい考える複雑な問題もでてきています。見直し時間を作る解き方のコツを覚えた受験生は本番でも強いと思います。

【みこ会に入ってよかったと思うこと】
① 課税価格決定の原則(原則編・例外編)が秀逸
⇒どの合格者の方も言っていますが、これは本当に素晴らしいです。独学受験者はこれが無ければ効率良く合格ができないのではないかと思います。結果論にしかすぎませんが、私はこれをマスターできていたら1回目の受験時に関税法であと2点取って合格していたと思います。通関実務においても輸入申告書や計算問題を得点源にしたい方はこのテキストは必須です。このテキストが絶賛されているのは未入会の頃から知っていましたが、正直なところ「大袈裟に褒めすぎだろ」と思っていました。使った側になって初めてその素晴らしさに気付きます。読んでもいないのに過小評価してすみません。信じなかった自分が本当に馬鹿でした…

② 過去問とマークシート解答用紙を入手できる
⇒実践感覚を身に付けるにあたって過去問とマークシートは必須です。私にとっては過去問が最大の教材でした。過去問で出題形式やマークシートの記入形式に慣れておくべきです。マークミスや転記ミスがなければ合格だったという方をTwitterで何人も見かけました。試験に対しての思い人ほど本番独特の緊張感や焦りによって平常心が奪われてしまいます。本当に恐ろしいです。私は運良く本番でマークミスをしていませんでしたが、過去問演習時には何度もやらかしていたため合格発表当日に合格の事実を知るまでは本当に不安でした。練習でミスを重ねていた分、本番ではその経験が生かされた部分もあると思います。

(※補足 過去問自体は税関HPに掲載されているリンクです。マークシートは会員以外の方にも公開しております。)

③ 問題集や過去問の独自解説が秀逸
⇒残念ながら問題集には手を付けなかったため、過去問解説の方をひたすら利用していました。
1つ1つの解説が分かり易いのはもちろんのこと、法改正に対応していることが本当に素晴らしいです。「例:当時は×だが、現在は〇(その逆も然り)」これにより、誤った理解を未然に防ぐことができるのは本当に大きいです。もう一つ素晴らしいのは、不親切な問題について「これは問題が良くない」とみこさんの意見でしっかり解説してあるところです。本試験の過去問には腑に落ちない解答で解説も無理矢理こじつけたような問題があります。納得できないのは悪い事じゃないと開き直ることができました。実務の場合は45点満点の試験なんだと思って、他の問題で点を落とさなければいいという割り切った考え方も時には必要です。1年目は完全独学でそういう情報も分からなかったため、良くない問題の無理矢理こじつけた解説を必死に理解しようとしていました。仕方ないとは言え、大きなロスだったと反省しています。

④ 会員限定ページの記事が秀逸(特に法改正、原産地規則、事前教示、通則)
⇒勉強の仕方や試験問題の解き方など参考になる記事が多いです。独学受験者が入手できない法改正情報も簡潔に説明してあります。法改正は出題されてもせいぜい1~2点程度のため力を入れ込みすぎるのは禁物ですが、 目を通して損はありません。現に今回はHSコード改正に伴うドローンや昆虫の新設項に関する記事は本試験に出題されました。原産地規則、事前教示、通則もしっかり記事を読んで内容を理解すれば大きな得点源になります。この記事を読んで通則を理解していれば1回目受験時の関税法でもう+2点取れていました。そして今回の第56回本試験において多くの反響を生んだのは通関実務で新種の問題が出ました。しかし、このタイプで原産地規則を問う形式をみこさんは事前に予想されていました。さすがとしか言いようがありませんよね。

⑤ 一問一答アプリが有能すぎる
⇒今年の合格者は同じことを思っていらっしゃる方が多いかと思いますが、このアプリは本当に優秀です。従来の通関士試験対策の勉強と言えば、机に座って問題を解く、テキストを開いて読むというのが主流でしたが、今回の会員サービスから一問一答形式のアプリが導入されました。隙間時間や外出先でもスマホ1台で手軽に過去問を解くことができるため、心強い味方です。また、正誤表で結果が残ることや間違えた問題を個別に確認できること、科目やテーマごとに問題が解けること、途中で止めても再開できることなど機能としても優れており、自分に合った活用方法ができます。

⑥ みこさんに質問ができる
⇒従来から皆さん仰っていますが、これは本当にありがたいことだと思います。試験に関する内容だけではなく、勉強の方法や心構えについても相談ができます。恥ずかしいことに、私は何事も自力で解決しようとする傾向が強すぎるせいで全然活用しませんでした。「よく相談してくる受験生は合格率が高い傾向にある」とみこさんが仰っていたように、恥を忍ばずにもっと質問や相談をしていれば点数がもう少し上がっていたのではないかと今でも反省しています。ただし、自分で一切調べずに何でもかんでも質問するのは正直言ってお門違いだと思いますし、自身の成長にも繋がらないと思います。深く悩まず、調べても分からないことがあれば相談するというスタンスでいけば問題ないかと思います。

【モチベーション維持】
① SNS(Twitter)
⇒同じ目標に向かう仲間・ライバルがたくさんいます。特にTwitterではレベルの高い受験者が多いです。勉強がしんどい時、頑張っている受験生の投稿を見て自分を奮い立たせる原動力となりました。
ただし、SNSの性質上、そのツールは生かすも殺すも自分次第です。否定的な内容で同調し合ったり、無意味なやりとりで時間を無駄にしている受験者がいるのも事実です。もちろん、合格が安全圏内の受験者はそういう交流をしても問題ありませんし、良い息抜きになる思います。しかし、私のようなギリギリで合格するようなレベルの受験者にとってはTwitterを開いて試験とは全く関係ない話題で他の受験者と交流する暇があるのであれば、テキストを読んで知識を詰め込むことや問題を解くことを優先するべきです。私は基本的に投稿を見る側でしたが、直前期はいろいろな不運が重なってしまい、弱音や愚痴を吐き出すことが多くなりました。もし、不合格だったら「あの時Twitterを開いた時間をもっと勉強に充てればよかった」と非常に後悔していたと思います。皆さんもSNSの活用には十分に気を付けて下さい。あくまで、自分が合格するために必要な情報を収集するツールです。何度も言いますが、合格ラインにギリギリの受験生による過度な使用は禁物です。

② 合格したその先を見据える
⇒私の場合は「合格してこうしたい、こうなりたい」という合格後の明確なビジョンがあったため、合格というのは自身にとって重要な通過点という位置付けでした。合格後、自分が理想とする公私ともに充実した姿を思い浮かべることで頑張るためのモチベーションを維持していました。

③ 合格体験記を読む
⇒みこ会のサイトには年齢や性別、職業、生活環境が様々であらゆる方の合格体験記が記載されています。その分、勉強方法や心構え、試験日までの過ごし方も人それぞれ異なります。すべてを参考にする必要はありませんが、誰よりも努力を重ねたこと、合格を掴み取ったという事実は合格者の皆さんに共通しています。自分も合格してそちら側に立ちたいと強く思わせる内容ばかりです。勉強に行き詰まってモチベーションが下がったとき、気合を入れ直す良いきっかけに繋がると思います。

④ 苦しい時に自分を奮い立たせるための合言葉を作る
⇒大袈裟かもしれませんが、しんどいと感じたときに真っ先に思い出すような座右の銘のようなものがあると、いつの間にかそれが自分を支える信念になります。私の場合は2つの言葉を信念としていました。
1つ目は「“今日は何もしない”は明日になったら“何もしなった昨日”という過去に変わる」
2つ目は「自分が休んでいる間にも他の受験生は戦い続けている」です。
これらを意識することで、どんなにきつくても全く何もしない日を作らないようにしていました。短時間でも何かしらやることが日々の習慣付けやサボらない自分を作ることに繋がってくると思います。古臭い根性論かもしれませんが、最終的に勉強するしないは自分の意志です。追い込み過ぎない程度に頑張ってください。

 【最後に】

 私の通関士試験における1年4ヶ月間の戦いを物語で表すなら、まさに「ウサギとカメ」です。
 1回目の受験では4ヶ月間で約390時間(直前期の9月は120時間)勉強しましたが、不合格でした。
スタートが遅かったことが大きく影響し、終盤の猛烈な追い上げも虚しく敗れ去ったウサギです。
2回目の受験では早い時期から少しずつ取り掛かり、コツコツと勉強していました。
しかし、1年目以上に厳しい環境に陥った影響もあり、最後の最後までペースを上げることはできませんでした。個人的な事情ではありますが、新年度から業務量が増え、試験日が近まるにつれて激務となってしまいました。直前期の状況としては、8月は12連勤等もあり、勤務日数26日で時間外労働70時間、9月は時間外労働40時間程度でしたが、9月20日にコロナ陽性となりました。運が悪いことにコロナの症状は重症化気味で本当にしんどかったです。(4日間39℃台の高熱、6日目まで発熱症状、7日目以降も頭痛や倦怠感、喉の痛みは治まりませんでした。)7日間の療養後、復帰初日から連日7:00出勤~22:00退勤という激務に加え、前日の10月1日も仕事をして翌日の試験日を迎えました。他の受験者がラストスパートをかけている中、最後の勉強が全くできなかったこともあり、心身ともに辛かったです。本試験でも手ごたえを感じることはできませんでした。むしろ、今まで簡単に解けていた問題も間違えてしまい、知識が抜け落ちている現状を痛いほど実感しました。
1回目の受験と全く正反対の状況ですが、自己採点は通関業法34/45、関税法36/60、実務29/45という結果でした。猛烈な追い上げを図るウサギに対し、最初から最後までスローペースを貫きながらも何とかギリギリ逃げ切って勝利したカメのような奇跡の合格だと思います。1点分のマークミスすら許されない状況だったため、合格発表当日までの毎日が本当に不安ばかりでしたが、発表当日に税関HPで自分の受験番号を見つけたときは安心感と喜びが一気に込み上げてきました。
1回目受験時の合格発表時に不合格の現実を思い知った時の絶望した気持ちと合わせ、これら2つの気持ちは一生忘れることのない感情だと断言できます。長い人生で考えれば、合格・不合格における両立場の感情を知ることができたのは私自身にとって糧になる良い経験だったなと今ならそう思えます。
一発合格も勿論凄いことですが、不合格を経て掴み取った合格にはこの上ない喜びを感じます。これまで悔しい思いをされてきた方にはどんな形でもいいので報われて欲しいと心の底から思います。

以上が1年4ヶ月間にわたって取り組んだ通関士試験における私の合格体験記となります。
取るに足らない内容の長文を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
この文章を読んで頂いた方の合格を心より祈念します。今のあなたが厳しい環境下だとしても、どうか最後の最後まで決して諦めないでください。

そして、みこさん
私はあまり質問をするようなタイプの受験者ではありませんでしたが、Twitterで愚痴のようなつまらない投稿に対しても前向きなリプライやアドバイスを送って頂き、本当にありがとうございました。
試験対策に対して真剣に向き合うのはもちろん、時には面白い話題を交えるような幅広いスタイルで受験者一人一人と向き合っていらっしゃる姿に心惹かれ、多くの受験者はみこさんのことを信じてついて行っているのだなと入会後に改めて実感しました。みこ会の発展とともに受験者全体のレベルが上がり、本試験が難しくなる現象は今後ますます著しくなると思います。これからも大変なことがあるでしょうが、変わらず通関士試験の合格を目指す受験者の道標であり続けてください。今まで本当にありがとうございました。今後は一卒業生としてみこ会の更なる発展と受験者の方々を陰ながら応援させて頂きます。

以上で終わりです。
最後までご精読頂き、ありがとうございました。