なーちゃん さん(男性 金融機関勤務 2020年度合格 受験回数2回)
第54回通関士試験に2度目の挑戦で合格することができました。2年間に渡る私の経験が今後、通関士試験合格を目指される皆さんの少しでも参考になればと体験記を投稿させて頂きました。
2年目はまず、知人の紹介でみこ会に入会させて頂き、みこさんには勉強の方法や個別の質問にも丁寧にご対応頂きまして、感謝しております。
独学の方はもちろん、通学や通信講座をご利用の方も、みこ会へのご入会をお勧め致します。独学の場合は勉強して行くと、必ずテキストや過去問の説明だけでは理解できないことが出てくるはずです。その場合、独学ですと、中々周りに聞く人がいないと思います。みこさんなら懇切丁寧に答えてくれるはずです。但し、みこ会に入会すると、みこさんが執筆された様々な解説記事が見られます。まずはご自身が疑問に思ったことに関する記事がないか探した上で、質問するようにして下さい。この記事はみこさんがこれまでに会員からの質問が多い内容を解説してくれたものです。大抵のことは記事に記載されている可能性が高いです。通学や通信講座受講される方にとってもみこさんのこれまでのご経験から勉強方法や過去問、市販されている個別のテキスト、問題集等で解説が不十分なものに対して更にかみ砕いて解説されたもの、最新情報等とても有益な内容が盛りだくさんですので、きっと役に立つはずです。それで会費は1回分の飲み代程度ですよ。
2年分の体験を網羅すると、かなりのページを割くことになりますので、特に2年目に関しましては鬼門の通関実務を中心に何点かのポイントに絞って記載致します(最終的にかなりの量になってしまいました)。
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1年目(2019年)に通関士試験を受けてみようと決意したのが、4月の中旬で、それからネットで評判が良さそうな通信講座を探して、最終的にはフォーサイトに決め、勉強を始めたのがちょうどゴールデンウィークに入ってからでした。
フォーサイトの講座、コンパクトに纏まっており、記載も簡潔です。これが長所であり、逆に言うと短所でもあり、特に関税法等の法律に関する科目は、何故、この規則があるのか、いわゆる立法趣旨の説明が余りないように感じました。
あくまでも個人的感想と断った上で、この講座に向いているのは、細かい理屈は抜きで、とにかく効率良く短期間かつ必要最低限の勉強で合格を目指す方だと思います。その為か、修得に時間と労力を要する、貨物分類に関しては、テキストや問題集にも若干の記載はありますが、講義での説明は皆無、基本的には貨物分類は捨てるとのコンセプトのようです。実際に1年目は貨物分類に関しては全く勉強せず、このフォーサイトの教材と日本関税協会の『ゼロからの申告書』(8月に行われた、模試で通関実務の出来が余りにも悪く、急遽8月末に購入)を中心にやった結果、通関業法と関税法はぎりぎり合格ライン、通関実務は1点不足でした。
このフォーサイトの講座中心でやっても合格された方は多くいるはずですが、立法趣旨をよく理解できないまま丸暗記して、又、貨物分類の知識を得ないまま、試験に合格しても、資格マニアの方は別として、この資格を活かせるのか疑問です。そんな合格後のことはどうでも良いから、とにかくまずは手っ取り早く合格だと思う方にはお勧めかもしれません。因みに2年目にフォーサイトの教材とは真逆に非常に詳しく記載されている『翔泳社の通関士完全攻略ガイド』を一通り読んで、立法趣旨がある程度理解出来てからこのフォーサイトのテキストを読んだら、コンパクトに纏まっているなと改めて感心したので、矛盾するようですが、決して否定するものではありません。
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2年目(2020年)も受験すると決めたら、前述の通りみこ会に入会、勉強法に関するみこさんの記事を熟読、その中でアドバイスされていた、勉強の順番として、通関実務対策から始めました。私の2年目の体験は多くの皆様が涙を呑む、通関実務対策を中心に述べさせて頂きます。
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年が明けた1月から前年全く手を付けなかった貨物分類から始めました。ただ、独学するにおいて、貨物分類だけは範囲が広すぎて、市販のテキストでは修得が難しいと思いましたので、LECの『通関実務対策講座 貨物分類編』を申し込み致しました。この講座だけで正価36,700円(LECのクーポンやみこ会とのタイアップで割引になる可能性あり)とお安くはないかもしれませんが、この講座を何回も視聴したお陰で、貨物分類のコツがわかってきました。そして、貨物分類の知識があると、貨物分類に関する知識問題は勿論、申告書問題も楽になり、時間の短縮が可能です。私は通関士試験の合格者に求められるスキルとして、世の中に無数に出回る物や物質をたった一つのコードに分類していく為の基礎知識を得ることもあるかなと思っています。実際に通関士として働かれるかは別として(私も通関業界勤務ではありません)、貨物分類の知識は貿易業務に係る者として、今後の実務にも有益ではないでしょうか(例えば、今後、益々増えるであろうFTAを利用する為には対象貨物のHSコードの正確な分類が必要です)。ですから、勉強開始が遅くなってしまった方(例えば5月以降)や普段、勉強時間を捻出できない方は貨物分類迄手が回らないかもしれませんが(その場合は貨物分類を捨てる選択肢もあります)、12月~4月頃からスタート出来、ある程度勉強時間が捻出できそうな方は貨物分類の勉強もしっかりやることを強くお勧め致します。
貨物分類に特化した講座はLECの他に見当たらないようですが、ツイッターでも話題になっている白スミレさん(大手資格の学校の通関士講座講師をやっておられる方です)が、オンライン講座を開始、貨物分類の単科講座も始まるかもしれないとの情報もありますので、関心がある方はチェックして下さい。
貨物分類講座ではありませんが、私も白スミレさんの申告書対策、計算問題対策、法令改正対策を受講しましたが、どれもとても有益でした。
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貨物分類対策と合わせて、2月頃から申告書問題の対策も始めました。税関のホームページや日本関税協会の通関士ポータルから過去問10年分程度、輸出入の申告書問題だけをやりました。その後、前年購入した、日本関税協会の『ゼロからの申告書』、みこ会とのタイアップで割引価格にて受講できたLECの『通関実務対策講座』を複数回やってきました。その際、大事なのは最初の内は時間を気にせず、問題に記載されている、『記』の条件(特に申告価格を算出する際に必要な加算や減算の要否)や実行関税率表の部注、類注、号注をじっくり読んでみることです。特に注は分類に必要だから記載されていることが多いので、しっかり見るようにして下さい。
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計算問題(延滞税、加算税、修正申告や更正請求、課税価格の計算)は本試験では得点源になりますので、しっかり準備しましょう。第54回試験ではほとんどの受験生が準備していなかったであろう、消費税の問題や課税価格を求める問題で予備校等の解答速報が3つに割れ、日本関税協会以外は違っていたような問題もあり、私は3問しか解答出来ずに焦りました。計算問題対策としては、過去10年程度の過去問、日本関税協会の『計算問題ドリル』中心に始めました。ただ、特に初めて受験される方は関税法や関税定率法の知識がないと回答できない問題もありますので、これらをある程度理解してからでも間に合うと思います。課税価格を求める問題ではテクニックとして、加算すべき金額を赤丸等で囲む(但し、間違えた時の為にできれば消せるペンが良いかも)ようにすれば分かり易くなります。
又、ある材料や費用等が課税価格として加算又は減算されるか(課税価格の決定)は輸入申告書の問題でも重要です。最近の本試験では仕入書記載の個別の品目毎に加算するかどうかを判断する問題となっていますが、問題によっては加算又は減算の判断を誤ると全滅してしまう場合があります。これらは色々なパターンがありますので、まずは各自でご使用のテキストの関税定率法の課税価格の決定の原則や課税価格決定方法の例外に記載されている加算要素や減算要素の基本を理解した上、数多くの問題に当たるしかありません。知識を整理される為に、関税定率法基本通達4条に目を通すこともお勧め致します
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7月以降は実務全般の纏めとして翔泳社の『通関実務集中対策講座 第3版』で申告書、計算問題、貨物分類の問題をやっていきました。この問題集は本試験より難しく作られているようですので、この問題に慣れておくと、本番で楽に感じられるかもしれません。
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実務問題の選択式や択一式では、『事前照会』や経済連携協定(FTA)、特恵関税の原産性を問う問題もあります。最近、締結された経済連携協定や日米協定は原産性の証明は自己証明なので、それに関する問題が増えてくると思います。これらはテキストによっては余り記載されていないものもあります。FTAに関してはジェトロ(日本貿易振興会)のホームページに詳しく記載されています。通関士試験レベルで問われるのは、原産地規則が中心です。原産地規則はFTAの種類によって違いますが、ベースの考え方は共通することが多いので、日EU EPA(FTAとEPAはほぼ同意語)かCPTPPに関して、ジェトロのホームページから無料ダウンロードできる、解説書に目を通されては如何でしょうか。
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申告書問題においては、インコタームズによって、その仕入書価格はどこまでの費用が含まれるか違ってきます。輸出はFOB価格、輸入はCIF価格で申告と決まっています。これ以外のインコタームズの場合は調整する必要があります。インコタームズに関して、詳しく知らなくても解答はできますが、全部で11種類しかありません。貿易の基礎を学ぶにおいて、インコタームズは真っ先に学ぶ事項の一つです。是非、基本的な知識は修得された方が良いかと思います。インコタームズは突き詰めればそれだけで本が書けるくらい奥が深いものですが、通関士試験レベルでは最低限、各インコタームズ条件の費用負担、具体的には輸出者が主語でどこまでの費用を負担するかを考えれば分かり易いかと思います。
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優先順位は低いですが、申告書の仕入書の貨物名は英語で記載されています。見てすぐにわかる物もありますが、日頃、目にする物でも英語では知らない単語もあります。私は普段、仕事で英語を使用していますので、特別、苦手意識はありませんが、通関士試験の仕入書に出てくるような単語は知らないものがたくさんあります。
例えば、魚で言えば、cod(たら)、herring(ニシン)等の単語は知りませんでした。
第54回実務の輸出申告書問題で『Tripod』(三脚)もすぐに解らず、探すのに時間が掛かってしまいました。
仕入書の貨物の英語表記が何を表すかすぐに解れば、貨物分類時に時間の短縮になりますので、勉強のスタート時期が早く、余裕がある方は仕入書に記載された貨物の英単語をチェックされては如何でしょうか。
私は仕事でもよく使用している、語学教材に強い,アルク社のオンライン英単語辞典の『英辞郎 on the WEB Pro』で都度、知らない単語に出くわしたら、調べて登録していますが、自分だけの単語帳が出来ます。単語に『通関士試験』のようにTagを付けることによって、通関士試験対策用の自分専用の単語帳を作ることが可能です。これは有料ですが、月額¥330です。月単位でも契約できますので、試験が終わったら解約することも出来ます。
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私が2年目に使用した教材等は以下の通りです。
通関実務対策:LECの通信講座『通関実務対策講座 貨物分類』、過去問10年分(申告書問題、計算問題のみ)、LEC『通関実務対策講座 申告書編』、日本関税協会『通関士試験ゼロからの申告書2019』、日本関税協会『通関士試験補習シリーズ 計算問題ドリル2019』、翔泳社『通関実務集中対策問題集 第3版』、 白スミレ・オンライン講座
関税法等・通関業法対策:翔泳社『通関士完全攻略ガイド 2020年版』、前年使用したフォーサイトのテキストの一部(通関士完全攻略ガイドは詳し過ぎるので、その纏めの為に使用)、TAC出版『通関士スピードマスター2020年度版』、翔泳社『通関士過去問題集 2020年版』、日本能率協会マネジメントセンター『2019-2020年版 どこでもできる通関士』、
範囲が広い関税法等は2月に入ったら上記の『完全攻略ガイド』を読み始め(基本的には1回目は通勤時の往復の電車の中でのみ)4月迄に3回読破、その後、『TACスピードマスター』6月迄3回。7月以降『翔泳社過去問題集』8月迄3回、8月以降本番直前迄、得点源の語群選択対策として『どこでもでき通関士』3回(通勤時の往復の電車の中でのみ)
通関業法は上記と同じ順番で6月から開始
模試:日本関税協会、TAC(以上、自宅受験)、LEC(会場受験)
結果は通関業法、関税法等は全て基準クリア(60%~70%程度)
実務は全て基準以下(11点~23点)
模試は問題をコピーして本受験の後に各々もう1回時間を図って実施。
間違えた箇所や曖昧な知識はパソコンで纏めて試験直前迄、見直しました。
みこさんも仰っていますが、模試の結果に一喜一憂せず、復習することが大事です。それで最後には合格出来ました。
みこさん、白スミレさん(基本的にはオンライン講座の内容に限定)には何度も質問させて頂き、疑問点は残さないようにしました。
最後に2020年は新型コロナウィルスの感染拡大で、仕事の勤務体制が交互に出勤と在宅の繰り返しと不規則で、勉強のスケジュールも当初の想定通り行かず、そもそも試験が予定通り開催されるのかもわからず、自身や家族、同僚が感染するリスクもあり、非常に不安な状況でした。4月以降は、飲み会も全くなくなり、休日も遠出しませんでしたので、空いた時間はほとんど勉強に費やせました。逆に気分転換も出来ずに挫けそうになったこともありましたが、みこさん、白スミレさん、LECさん(LECさんにはツイッターで何気なく、申告書の講座では、テキストをダウンロード出来るようにして頂くと便利です、と呟いたら早速対応頂きました。お陰様で都度、コピーを取る必要がなく、大変、助かりました。ありがとうございました)、ツイッター仲間そして家内に支えられながら合格にたどり着くことが出来ました。本当に感謝です。
次回、通関士試験を受ける皆さんは、みこさんのことを信じて、是非、合格の栄光を勝ち取って下さい。